【感想・書評】究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる(サンマーク出版):成功は天賦の才能ではない

【感想・書評】究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる(サンマーク出版):成功は天賦の才能ではない

 

 

 2010年第1刷。

 

『究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる』の著者

 著者はジョフ・コルガンさんというアメリカのジャーナリストです。ハーバード大学卒業(最優秀学生)。ニューヨーク大学スターンビジネススクールMBA取得、だそうです。大学の先生ではありませんが、巻末に引用した論文などがたくさん載っている、ちゃんとした本だと思います。

 

『究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる』の書評、感想

 原書の題名は『Talent Is Overrated』。下記の目次の第2章「(生まれ持った)才能は過大評価されている」ですね。

 全体として、世界的業績を上げるのに必要なのは、生まれ持った才能ではなく、「究極の鍛錬」である、ということが述べられています。どのような鍛錬が「究極の鍛錬」なのか、「究極の鍛錬」を日常やビジネスに応用するヒント、成功を収めた人々がどのように練習し、スキルを磨いたかが詳しく説明されています。
 また、この本では、成功に必要な要素として、専心した練習、専門知識、目標志向性、負けず嫌い、そして耐久性などの要素が紹介されています。

 『究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる』にはアンダース・エリクソンという心理学者が何度か登場します。本書の内容は、日本での初版が2016年、フロリダ州立大学心理学部のアンダース・エリクソン教授の著書『超一流になるのは才能か努力か?』とかなり重なります。

 

 

 ただ、『究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる』独自の視点で書かれた内容もあるので、両方読む価値はあると思います。

 本書では、以下のような洞察が述べられます。

 

偉大な成功者は、熱心に専門的に練習している。

 多くの人々は、才能を持っている人々が自然と成功すると信じています。しかし、本書では、才能を持っている人々も練習が必要であると主張しています。実際、才能を持っている人々が練習を怠ることが多いため、彼らは最大限の成功を収めることができない可能性があります。
 この部分は、成功と才能の関連性について深遠な洞察を示しています。しばしば社会では才能が成功への鍵であるとされますが、その通説に異議を唱え、成功への道はむしろ一貫した努力と専門的な練習によって築かれると強調しています。

 自己改善や成長に焦点を当てたい読者にとって、特に響くでしょう。才能を持っていることは疑いなく有利ですが、それだけでは成功は約束されていないというメッセージが、読者に対する行動の喚起につながる可能性があります。結局のところ、本書は才能だけでなく、専門的な練習と熱心な努力が成功への不可欠な要素であるという、鼓舞的な視点を提供しています。

 

ただ練習をするだけでは十分ではなく、意識的な練習が必要である。

 練習には「意識的な練習」と「ルーティンの繰り返し練習」の2つの種類があります。意識的な練習は、目標を設定し、反復し、フィードバックを受け取り、練習を改善することに重点を置いています。ルーティンの繰り返し練習は、同じことを何度も繰り返すことによってスキルを磨くことに重点を置いています。成功に必要なのは、両方の種類の練習を組み合わせることですが、意識的な練習の質が練習の量よりも重要であることがわかっています。
 この部分は、練習の質と量、そしてそれが成功への道にどのように影響を与えるかについて、洞察に満ちた視点を示しています。成功への道は単純な時間の投資以上のものを必要とし、それは「意識的な練習」という形をとることが明らかにされています。 

 「意識的な練習」と「ルーティンの繰り返し練習」の二つの概念は、それぞれが練習の異なる側面を補完するものとして描かれています。前者は目標指向で自己反省的な練習を、後者はスキルの習熟度を高めるための反復練習を表しています。しかし、重要なのは、これら二つの練習スタイルは互いに排他的なものではなく、むしろ組み合わせることで最大の効果を発揮するという点です。そして単に時間を費やすこと以上に、自身の練習をどのように進め、改善していくかが重要であるという示唆が与えられています。一見すると、この情報は単なる事実の提示に過ぎませんが、練習の方法について深く考えるきっかけを提供し、読者に対してより効率的な学習方法を追求するように促しています。
 全体的に、目標達成に向けた練習のアプローチについて新たな視点を提供し、ただ時間を費やすだけではなく、どのように練習するかが成功への鍵であることを強調しています。

 

練習の際に、リアルなフィードバックを得ることが重要である。


 本書は、成功するためには優れたコーチングが重要であると主張しています。優れたコーチは、練習方法を改善し、練習中の課題を克服するための戦略を提供することができます。また、優れたコーチは、フィードバックを提供し、モチベーションを高めることができます。
 この部分は、成果を最大化するための練習法として、フィードバックの重要性とコーチングの役割に対する深い理解を示しています。それは、練習に対する独自の視点を提供し、その過程が単なる行動の反復ではなく、絶えず学び、適応し、成長する活動であることを強調しています。
 「リアルなフィードバックを得ることが重要である」という主張は、目標達成のための重要なステップを明確に示しています。フィードバックは、自己評価が難しい状況や視点が偏ってしまう可能性がある場面で、真実を明らかにする役割を果たします。これにより、我々は自分自身の弱点や改善点を明確に認識し、対策を立てることができます。
 また、優れたコーチングの価値について述べた部分は、成功への道程におけるガイドの重要性を強調しています。コーチは単に指示を出すだけでなく、適切なフィードバックを提供し、モチベーションを高め、問題解決の戦略を提案します。この部分は、成功への道のりが孤独なものではなく、他者の支援と共有の知識によって容易になる可能性を示唆しています。
 この部分は、成功への道程におけるフィードバックとコーチングの価値を強調し、読者に自身の練習方法と学習環境を見直すきっかけを提供します。個々の進歩を促すだけでなく、集団内での協力と共感の価値を提唱する、洞察に富んだ一文と言えます。

 

 私は『究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる』を読んで、自分自身の成長と成功について考える機会を得ました。私は、やはり、成功は、才能や天賦の才能に依存するのではなく、それが成功に必要な唯一の要素ではないことを知り、専心した練習や意図的な学習が自分自身を向上させるための重要な要素であるという、当塾の理念を再確認しました。

 本書は、成功するために必要なスキルや要素についての深い洞察を提供しています。本書は、自分自身の成長と成功を追求する人々にとって、非常に有益であり、強くお勧めできる書籍だと思います。

 

『究極の鍛錬 天才はこうしてつくられる』の目次

1.世界的な業績を上げる人たちの謎
2.才能は過大評価されている
3.頭はよくなければならないのか
4.世界的な偉業を生み出す要因とは?
5.何が究極の鍛錬で何がそうではないのか
6.究極の鍛錬はどのように作用するのか
7.究極の鍛錬を日常に応用する
8.究極の鍛錬をビジネスに応用する
9.革命的なアイデアを生み出す
10.年齢と究極の鍛錬
11.情熱はどこからやってくるのか